ナイキの厚底シューズって結局何なの?規制されるべき?

ナイキ

ナイキの厚底シューズが色々な意味で旋風を巻き起こしています。

かつてランニングシューズの機能がここまでの話題になったことはなく(ナイキのエアマックス狩りみたいなファッション的な意味でのブームはありましたが)、ゆえに選手、団体、一般人もどうやって対応すべきかよく分からないというのが実情でしょう。

間もなく本問題に対する世界陸連のレポートが発表される見込みですが、問題となっている背景や今後予想される展開についてまとめます。

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ちなみにハイエンドモデルではないけど、自分もナイキのちょい厚底を履いてレビューしたことがありました。

ランニングシューズの常識

この話題はランナーや関連メディアを飛び越え、一般的なマスコミも報道していますが(実は知ったかぶりしている方向けに😅)念のためおさらいしましょう。

元来、長距離用ランニングシューズ(マラソンシューズ)は

「初心者向け=ソール(靴底=クッション)が厚い」

「熟練者向け=ソールが薄い」

というのが常識でありセオリーでした。勿論、色々と例外ケースはありますが。

体重が重めで、脚周りの筋肉が十分に鍛えられていない初心者は、ソールが厚いことによるクッション性(快適性)による恩恵が大きく、体重が軽く脚を鍛えている熟練者は、ソールが薄いことによるダメージを耐えることが可能であり、蹴り上げる力をよりダイレクトに地面に伝えることが可能で軽量性に優れる薄底がおすすめという理屈です

昔の話ではありますが、エチオピアの英雄アベベ選手のように裸足で走って、好記録を残すトップランナーもいた位ですから。超意地悪な解釈をするとシューズは「邪魔者」ということもできます。(シューズメーカーごめんなさい😟)

ちょっと論点は異なりますが「Born To Run」というトレイルランニングのバイブル的な本の中でも、ソールが厚いナイキのシューズ(今の厚底シューズではない)がランナーの故障を誘発させているとしてこき下ろされてましたね。

ナイキの厚底は何をしたのか?

各社様々な技術開発を進めてきたわけですが、この「ソール薄厚問題」については、少なくとも大手メーカーで効果的な反論というか製品開発はしてきませんでした。

ナイキの厚底誕生までは。

HOKA one oneという海外のトレイルランニングで存在感があるメーカーが「厚底」の代名詞ではありましたが、あくまでも未舗装の悪路対策としての意味合いが強く、舗装路を速く走る設計思想ではなかったと思います。

最も予兆はあったというか、ナイキの厚底までは、Adidasが技術開発の先陣を切っていた印象がありますが、Boostフォームという柔らかいけど反発するという素材が当時かなりのインパクトを持って迎えられました。

初めて履いた時は「ポヨン、ポヨン」するその感触に驚いたものです😳

ナイキの厚底もこうした色々なメーカーの既存技術も参考に開発が進んだんでしょうね。

さて、ソールが厚いことによる大きなデメリットは「衝撃吸収性(接地のインパクトを吸収する反面、地面を蹴りだす力も吸収してしまう)」と「重量の増加」です。

衝撃吸収性については砂浜を走る感覚が分かりやすいとおもいます。

接地(着地)の時の「ガツン」という衝撃はない代わりに、アスファルト等固い地面に比べてスピードは出ません。

しかし、メーカーの研究開発というのは恐ろしいもので、このデメリットを克服してしまったのが「ナイキの厚底」なのです。

「ナイキの厚底」と言っても幾らかライン(モデル)があり、かつ常にバージョンアップしているのですが、現在トップランナーが履いているのが「ナイキ ズームX ヴェイパーフライ ネクスト%」です。

「ナイキVF」とか、代表的なカラーを取って「ピンクシューズ」とか呼ばれたりもします。

技術的な解説は専門家及び公式サイトに譲りますが、簡単に言うと弾性に優れるカーボンプレートと、ズームXと言われる超軽量で弾む素材をソールに採用することにより、「厚底なのに、軽くて弾む」という従来の常識では矛盾する機能を獲得することに成功したのが、「ナイキVF」です。

現在マラソン界でトップを走るケニアのキプチョゲ選手のリクエストに応える形で研究開発が進んできたという話で、実際彼はこのシューズで数々の記録を打ち立てています。

そのほかの世界トップランナー達もこぞって採用。好記録連発。

日本でも中村選手、服部選手、大迫選手や設楽選手、というかトップランナーのほとんどが同じシューズを履くという異常事態になっているというわけです。

ここがナイキの商売上手なところですが、敢えてどギツイ色のシューズをBIGレースに投入することで「見渡す限り一面ナイキ」な状況を作り上げています。

ランニングシューズに詳しくない人でもTVを見ていると、まるで示し合わせたように同じ色のシューズを履いているシーンは印象的だと思います。

今年の箱根駅伝も、ナイキの厚底率が8割以上とか言っていましたね。(長年adidasがスポンサードしている青学も遂にナイキを履いたので話題になりました😳)

ナイキの厚底は、ランニングシューズの常識を破壊し、マラソンのTV中継の風景まで一変させてしまったともいえます。

そして、世界陸連の裁定待ちへ

ここまで、ナイキの厚底が旋風を巻き起こしてしまうと、当然色々な事情でそれを履けない選手から不満が出てきます。

走るのはランナー、大切なのはランナー。それは間違いない。

でも、非ナイキ勢としては、ナイキ使用ランナーが表彰台を独占して、長距離の記録をドンドン塗り替えるのを見ているとやはり心中穏やかではいられないでしょう。

その選手(若しかするとライバルメーカーの後ろ盾もあるかもしれませんね)「ナイキは反則じゃないか?陸連調査してよ!」という主張があり、それを今調査・検討中という状況です。

なんでも1月中に検討結果が出るとか。

ナイキの厚底は規制されるべきか?否か?

判断

分かりません😅

というよりもどちらでも良いと思います。

ただし基準が「公平な競争」を実現するために必要かつ明確なものである前提ですが。

WEBでも色々な意見を言う人がいますが(意見表明している人の多くは「規制反対」という印象があります。まあそうですよね、実際凄いシューズですからね)、あまり他競技がどうだ、こうだ言っても仕方ないと思います。

F1(モータースポーツ)の状況とか障がい者スポーツの状況を持ち出して持論を展開する人もいますが、それはそれ、これはこれ。

結局、規制有無や度合いについては、スポーツによります。規制されていない競技もあれば、ガチガチ規制されている競技もあります。そして、合理的な背景があったり、無かったりします。

「マラソン(長距離走)」として競技者が競うのにどこまでが許されるべきか?が本質ですが、これは中々難しいです。

「メーカーの努力(技術開発)に水を差すな!」という人もいますが、例えば「バッテリーモーターを内蔵した(ランナーを補助する)シューズ」はどうでしょうか?これは、多くの人が規制すべきと考えるでしょう。

外部動力が組み込まれていますからね。

では「ローラーブレード」はどうでしょうか?根拠規定は知りませんが、さすがにローラーブレードでマラソン走るのは現状でも反則ですよね。😓でも、外部動力はありません。あくまでも自分で「滑っていく」だけです。

そして今後「ナノローラーシューズ」みたいな見た目は普通のシューズと変わらないけど、走るというより滑るような走行が可能なシューズが出てくるかもしれません。これは規制されるべきでしょうか?

規制されるべきなら、ナイキの厚底との差は何でしょう?

一方で、アレもダメこれもダメだと行き着く先は「じゃあ裸足で統一しようか?」ということになってしまいます。それもナンセンス。

それにしても、東京(札幌?)五輪マラソンまであと半年なのに、選手が不憫ですね。大迫選手なんかは「どっちでも良いから、早く決めて」って言ってましたけど、その通りです。

一般人に出来るのは、陸連が速やかに、そして納得感のある結論を出すのを見守るだけです🙄